■内容■
売れてる営業マンは仕事の質を求めずお客様の要望に応えず、明日の予定なんか立てない。村上龍氏推薦。
元リコージャパンのトップセールスが書く実体験を基にした作品。
■感想■
ちょっと読めと言われたのでしょうがなく読んでみた本です。
ネットで調べると、不自然なほど肯定的な感想しか出てこないのは何故なんでしょうか。仕事がらみでしか読まないものだから、誰も個人的な感想を書かないのでしょうか。
とにかく絶賛されている本ですが、個人的に採点するなら、0点です。
全体的にワタミ地味た気色の悪い夢見心地の言葉を垂れ流しながら、その裏では奴隷労働を奨励しているような内容です。
営業ではなく、部下に営業を抱える管理職や経営者が部下に読ませる為の本、といったところ。
なにより、実体験を基にしたフィクション、というのがミソで、一体どこまでが嘘なのかこっちにはさっぱりわからない仕様です。
お客様の役に立つ、という夢を見た言葉を、一体この不景気の中どれほどの企業が実践する気があるかは微妙な所。どこも生き残る為の利益獲得に躍起になっているのが現状で、とてもではないですが作中の主人公のような"時間の無駄"をする余裕がありません。
作中での夢見心地エピソードとして印象に残ったものに、「新規の企業相手に一日三回訪問。毎日図書館に通ってまで"自分新聞"を作り渡しに行く」というものがありました。
営業の種類にもよるのでしょうが、通ったところで利益に即結びつかない相手に一体どれほどの時間を費やしているのでしょうか。その分の気遣いとやらを既存の客に対して使った方がよっぽどマシだと思います。作中の部長と同じように行動できる営業は、恐らく仕事が他に殆どない社内ニートでもない限りは存在しないフィクションです。
また、このエピソードでも社員が徹夜してまで働くことが仄めかされており、労働時間に関しては本全体に渡って気持ち悪いことになってます。
部長による改革という体の"洗脳"が進んだ営業所の社員達の労働時間は、朝は07:30に出社し、毎日終電まで働く(たまに徹夜もする)というものです。
東京勤務、東京住まいと考えると月に160時間ほど残業をしている計算になります。
数字が届かないと、遂には怪我をするほど机を本気で殴り、大声で怒鳴り散らす部長様のエピソードがなんだか感動的な話にすり替えられていたのにはある意味で芸術的なものを感じました。
ダメな営業がトップセールスになる話というよりは、社畜が育成される過程を見ているように思えます。
最後は申し訳程度でお約束のお涙頂戴シーンが搭載され、一部のやたらめったら感受性が高い人たちの感動をかっさらっております。
リコージャパンのトップセールスから作家へ転進とのことですが、強く元の鞘に収まることをオススメしたい作品でした。
[3回]
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