【あらすじ】
意識高い系グループに入ったクルクルパーな娘が、虐殺される先住民族を助けるつもりで現地に向かったら大変な目にあうお話
【ネタバレなし感想】
私はこの映画のモチーフになった「食人族」を見ていません。それでも楽しめたので良い映画でした。見てない人も安心。
さて内容は、「意識高い系が見事に壊滅する様子」を愉しむための映画です。
主人公ジャスティンはもともと意識高い系の素養のある女の子。そこに積極行動主義を掲げる超意識高い系集団と出会い感化されるわけですが、序盤のうちにたっぷり意識の高さを見せつけられます。
ミソなのは主人公はあくまで「意識高い系」であって、意識が高いわけではないところ。偶然日本のトレンドをガッチリ掴んでいるアメリカ映画流石です。
そんな意識高い系の御一行が、「ワタシたちが野蛮なペルー人から彼らを守らなきゃ!」と鼻息も荒くイキって現地に向かった結果見るも無残に調理されて胃袋の中に収まる光景は胸がすく思いでした。
この映画が面白いのは、「ジャングルの奥地にはなんとも恐ろしい食人族がいた!彼らに捕まった白人の恐ろしい末路とは!!」というような、未開の地で出会う恐ろしい部族を描く、という方向性ではないところです。
この映画は「イキった白人様がイキりすぎた結果自滅する」ような内容です。
食人族についてもことさら野蛮、という様子の描写ではなく、あくまで「人間を食う文化がありますよ」という程度の描き方。さも当然のように人間を調理して、子供も笑顔で人肉を頬張る。なんだか微笑ましさすら感じるほどナチュラルに人肉を調理していく姿は人肉食というのがあくまでの部族の文化に過ぎないということを表現しています。
仮に食人族に襲われるイキり白人たちを牛に変えたとしたら? 全く違和感のない光景に早変わりです。
比較して自分たち(の文化)がすべて正しいと思い込んでいろんな文化に口を出す白人様は手痛いしっぺ返しを食らう、そんな映画です。
ただ全体通して「グログロのグロ」というレベルではないと思います。そういう映画がみたい方は肩透かしを食らうでしょう。
また、「アホな奴らが壊滅する様を安全圏から眺めて愉しむ」映画だなと感じたので、主人公側に感情移入したい人・してしまう人には不向きです。ネットでもちらほら「主人公側が不愉快」という声を聞こえたので。
お気に入りの登場人物は意識高い系リーダーのアレハンドロ。爆笑しました。
[0回]
リーダー大好き。
最初は単なる学生らしい意識高い系のアホかと思ったら、実際は企業の利権に乗っかる形で自分の名声をあげようと画策していたことが発覚。さらに仲間を盛大に使い捨て生き残る道を冷静に探る。
アンタ凄いわ。
意識高い系が大っきらいな私としては、このくらい汚い方がむしろ好感が持てます。最後に部族に溶け込んでしまっているのも、持ち前の強かさでヤハ族に取り入ったのでしょうか。流石です。
ある意味で今作最大の有能キャラなのでは。
でも仲間死んだあとにいきなり自慰を始めるのはちょっとわからないぞ。お父さん心配です。
対する意識高いだけが取り柄の有象無象集団。筆頭のジャスティン。
陰核割礼を授業で知るとすぐに憤慨。「プンプン、野蛮な風習を持つ蛮族どもは国連職員のパパに言いつけてやるんだから!」と息巻いてパパにチクるも「野蛮なだけで侵略できねーよ」と小学生でもわかる説明をされて逆ギレ。
そんなパパへの反抗心からか大学の意識高い系サークルに参加してペルーに赴くも、メンバー御一行はノーヘルで子供乗せてるバイクを見て「児童虐待」と言い始める始末。
本作のスカっとポイントは、ちょっと惚れてたアレハンドロに実は「国連職員の娘」という点だけを評価されて利用されていたと判明するシーン。本人はスネにスネてしまいますが、ジャスティンという娘の価値が、本作では「国連職員の娘」「処女」という点しかないので同情の余地なし。
そんでお待ちかねの食人シーン。わざわざ目や舌、手足から食べていって苦しませるあたりが、今作唯一の残虐シーンでしょうか。
他に関しては、単なる「風習の違う国の食事シーン」といった形で、正直グロさはない。
見始めたときにはそういったグロいシーンが多いのかと思っていたのに、既にこの頃にはいつジャスティンが食われてハッピーエンド(部族側)で終わるのかと期待していました。
──が、結局ジャスティンは生き残ってしまい、なぜかヤハ族のことも隠して物語は終了。ここらへんは食人族をオマージュしてるとかしていないとか。
意識高い系というのは海外にもいて、少なからずそれを苦々しく思ってる人がいるのかな? ということに気づけた作品でした。
あと国連パワーしゅごい。
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